めまい外来 〜最も多い耳が原因となるめまい〜

めまい、ふらつきは比較的多くの方が経験される疾患です。ただ診療科として何科を受診して良いかが医療に携わっていない方だと判断が難しく、まためまい疾患にあまり精通していない医師の診察では蔓延とお薬のみが処方され、なんとなく良くなった感じがして、ただ比較的高頻度にめまい、ふらつきを繰り返しているという状態を繰り返す方も多い現状があります。
めまいの原因の2/3以上は「耳の障害」が原因で、さらにその耳の障害の中でも下記にある良性発作性頭位めまい症(BPPV)が半数以上を占めています。まためまいは単一の原因で起こっていることは少なく複数の要因が重なって生じることが多く、原因検査を適切に行うこと、問診によるめまいの性状や持続時間、めまいの発症の転機を良く確認することが重要になります。
めまいにお困りの方や突然のめまい、ふらつきを起こした方は是非一度めまいの専門外来や耳鼻咽喉科でのめまい診療を受けていただくことをお勧めいたします。めまいは耳を原因とすることが多く、直接命に関わるめまいは少ない一方で脳疾患や心臓疾患に関わるめまいの場合、放置することにより重篤な合併症や後遺症を起こすこともあります。そのような疾患を見逃さないことは非常に重要なことです。気になるめまいやふらつき、お困りごとがありましたら是非当院にご相談ください。
めまいについて
めまい、ふらつきはいくつか分類があり、周囲がぐるぐる回っている「回転性めまい」と身体が揺れて、ふわふわするような感覚を呈する浮遊感を覚える「非回転性めまい」、そして体がふわふわして浮いているような感覚(浮遊感)を認める「浮動性めまい」があります。
めまいの原因として最も多いのは平衡機能を司る内耳(聴器の組織です)に異常を伴う「末梢性めまい」がありいわゆる耳鼻科領域での治療を要する疾患です。また頭部に起因する「中枢性めまい」や循環障害や内科的なトラブルに起因するめまいも一部に認めます。
脳や心臓の病気などでもめまい、ふらつきが起きりえるため、その見極めが極めて重要です。
めまい診療の大まかな流れ
問診
(発症時期、めまいの性状、持続時間、体位による症状の変化etc)
診察
鼓膜の評価(耳の器質的な疾患有無の確認)、赤外線CCDカメラによる眼振評価、麻痺症状(温痛覚、四肢)、脳神経症状の評価等
聴力検査、重心動揺検査
(身体の重心評価、平衡障害を確認する検査です。立っている時のふらつきを評価する検査で身体への負担は大きくありません。)
治療薬の処方、めまい体操の指導
(耳性めまいの場合:当院ではめまい診療に慣れた看護師によるめまいリハビリを積極的に実施しています。)
めまいでよくみられる病気
良性発作性頭位めまい症
頭を動かす動作(ベッドで寝返ろを打ったり、物を拾おうと腰をかがめた際など)によって短時間の回転性めまいが起こる、最も一般的なめまい症です。
耳石というカルシウムの成分が三半規管に落ち込みはまり込むことによってめまいが発症します三半規管が平衡感覚の維持に寄与しているためです。耳石は年齢とともに剥がれやすくなり半期間への落ち込むリスクも上がるため、年齢が上がるとより発症も増えていきます。
めまいが起こる時間は通常30秒~1分程で、朝起きて起き上がる時、寝返りをした時、上または下を向いた時などに起きやすいです。ぐるぐると目が回るようなめまいで、めまいの強さは様々です。
こんな症状に心当たりがあればご相談ください。
- 短時間の回転性めまい(自分自身か周囲のものが動いたり回転したりしているかのように感じる)
- 吐き気、嘔吐
診断、治療
良性発作性頭位めまい症が疑われる場合にはまず赤外線CCDカメラによる眼振検査、聴力検査、重心動揺検査を行います。
治療は薬物療法として、抗めまい薬、吐き気止めを処方します。生活習慣の改善も大切で、しっかりと睡眠を取り、ストレスを避けてください。また、この疾患は定期的に繰り返し起こることが知られており、めまいをできる限り起こさないようにするためにもめまい体操によるリハビリを励行しています。めまい体操については当院の看護師が一人一人指導に入りますので、一日5〜10分程度でも構いませんので是非継続してリハビリを続けてもらえると良いと思います。
メニエール病
主に20~50歳ぐらいの、特に女性に多く見られます。突然回転性のめまいが起こり、片側の耳鳴り、耳閉感、難聴が併発し、めまいが消える頃にはそれらの症状も軽くなり、のちに消失します。多くは片耳で発症しますが、中には両耳で発症してしまう方もいます。気圧やストレスにより症状が繰り返し起こるのが特徴です。またメニエール病の診断基準としては発症を繰り返すことが重要な所見となっており、疲れが溜まった際などに再燃を繰り返しやすいのも特徴です。
こんな症状に心当たりがあればご相談ください。
- 突然回転性のめまいが起こる(吐き気・嘔吐を伴う)
- 耳鳴り
- 耳閉感
- 難聴
診断、治療
メニエール病が疑われる場合にはまず聴力検査、眼振検査、(MRI検査)を行います。
治療には主に生活指導、薬物療法があります。メニエール病はストレスと睡眠不足が深く関わっているとされています。
生活指導では、適度な有酸素運動によりめまい発作・難聴が抑えられるほか、水分摂取療法なども有効とされています。
薬物療法では、めまいを抑える薬、制吐剤、循環改善薬、ビタミン剤、利尿剤などを組み合わせて処方し、必要に応じて精神安定剤を使用する場合もあります。
前庭神経炎
突然強い回転性のめまいが起こる病気です。内耳の平衡感覚をつかさどる前庭から、脳に情報を伝える前庭神経に炎症が起こることで発症します。主に、ウイルス感染、免疫力低下、が原因と考えられており、発症する1.2週間前に風邪をひいているケースが多いですが、わかっていないことも多い疾病です。突発性難聴やメニエール病とは違い、聴覚症状が無いのが大きな違いです。
こんな症状に心当たりがあればご相談ください。
- ある日突然の強い回転性のめまい(体位に関係なくじっとしていても強いめまいが起こる)
- 吐き気、嘔吐
診断、治療
前庭神経炎が疑われる場合にはまずCCDカメラによる眼振検査、平衡機能検査、聴力検査、(必要に応じてMRI検査)を行います。診断には問診が非常に重要となりますので十分に話を伺うことが必要となり、治療は発症直後には安静に過ごすことが重要です。また薬物療法として、抗めまい薬、ステロイド剤などを処方します。めまいが落ち着いてきた後は、めまい体操等により積極的に体を動かすリハビリが重要です。生活習慣の改善も大切で、気を苦正しい生活を心がけましょう。