鼻のよくある症状

下記のような鼻症状が出ましたら当院にお気軽にご相談ください。

鼻詰まりがする(鼻閉)

鼻(腔)粘膜の炎症や腫脹、また粘度の高い鼻汁や鼻腔内ポリープや腫瘍などにより鼻腔の通りが悪くなることで起こります。本来ヒトは鼻呼吸ですが、鼻閉により口呼吸となってしまうため口腔内の感染や口臭の原因となることもあります。
またいびきや睡眠時無呼吸の原因となることが知られていて、鼻治療によりいびきが改善する場合もあるため一度評価を行うことは有効です。特に小児のお子様の場合、成長の阻害要因となり、学習障害の原因ともなることがあるので注意が必要です。
また睡眠時無呼吸の原因となると説明致しましたが、その治療であるCPAP治療においても、鼻詰まりによる不快感が強く治療が十分に行えないなどの問題も出てくることが多くあります。(院長もCPAPの治療を実際していますが、当初鼻詰まりによる影響でCPAP使用して寝ても、夜間気づかないうちに外してしまったり、不快で途中で使用をやめてしまうなどがありましたが、鼻閉をある程度改善させてからはCPAP治療も問題なく行えるようになり、日中も快適に過ごすことができています。余談です。)

鼻水が出る

鼻水といえばアレルギーというイメージを持たれることも多いですが、実際にはその性状(透明鼻汁か黄(緑)色鼻汁か、水性の鼻汁か粘性の鼻汁か)により原因となる疾患が異なります。併発していることも多くあります。専門的に耳鼻科で確認を行い治療することが望ましいです。ずっと以前からの花粉症で毎年同じ時期に同じ性状の鼻汁でというのであれば問題ないことがほとんどとは思いますが、一度専門的に耳鼻科に相談してみてください。

くしゃみが出る

鼻(腔)粘膜の炎症や腫脹で起こります。専門的にはヒスタミンという化学物質が放出され、ヒスタミンが三叉神経を介してくしゃみ中枢を刺激することでくしゃみが起こります。また鼻汁もヒスタミンが関与して起こります。

臭いを感じない(嗅覚障害)

原因としては風邪症状の後に発症することが最も多く、その他副鼻腔炎や鼻中隔弯曲といった鼻腔通気の障害(ニオイの細胞が嗅覚細胞に届かなくなる)で起こります。
また特に喘息を併発している時には注意が必要で鼻症状と合わせて是非耳鼻科に受診してください。

鼻水が喉に回る(後鼻漏がある)

鼻水が外に出るのではなく、喉の方に回ってしまう症状のことです。口臭や痰の原因となり、喉の不快感や違和感の原因となるだけでなく、慢性的な炎症の原因となっているケースも散見されます。鼻腔内からfiber(鼻腔内視鏡)で確認することで状況の評価が可能ですので一度外来受診をお勧めいたします。

鼻の中が臭い

鼻の奥で匂いを感じる場合には副鼻腔炎をまず疑う症状です。また小児のお子様の場合、遺物を鼻に入れてしまい、親御さんに怒られると思いなかなか言わずにいてそのうち悪臭がしてくるといったケースもあります(よくあるのがBB弾やビーズを入れてしまう場合)。いずれにせよ治療により改善することが多いため、耳鼻科にご相談ください。

鼻を強打した

鼻骨骨折などの除外を要することがあります、また鼻閉を起こすこともあり注意が必要です。当院ではCTにより骨折の評価が確実に行えます。ご相談ください。
鼻は審美的にも重要な要素となります。鼻骨骨折の場合は骨が固まってしまう2週間以内の治療が望ましいため、早期の診断が必要です。

鼻でよくみられる病気

アレルギー性鼻炎

鼻粘膜にアレルゲン(アレルギーの原因となるタンパク質:抗原)と呼ばれる物質が侵入することで鼻粘膜が炎症します。原因物質(アレルゲン)によって、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分けられます。

こんな症状に心当たりがあればご相談ください

  • 鼻水がずっと止まらない
  • くしゃみが出続けている
  • 鼻詰まりが続く など

治療方法

抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬を使用した薬物療法や、原因となるアレルゲンを投与してアレルギー反応を弱めるアレルゲン免疫治療法、また鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術や、鼻腔構造を改善する手術、神経を切断する手術療法などがあります。

副鼻腔炎

鼻の奥にある空洞(上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞)のことを副鼻腔といい、これが病原体(細菌、ウイルス など)に感染、あるいはアレルギーなどによって炎症を起こしている状態が副鼻腔炎です。

副鼻腔炎は大きく急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2つに分けられます。急性副鼻腔炎は風邪などをきかっけとした病原体感染により引き起こされることが大半です。多くの場合は、軽症で、1週間程度で治まりますが、細菌などによる二次感染が起きると長引く場合があります。慢性副鼻腔炎は3ヵ月以上、急性副鼻腔炎が長引くことがきっかけとなります。この場合、鼻ポリープが併発していることも少なくないです。

こんな症状に心当たりがあればご相談ください

  • 膿が混じった鼻水が出る
  • 鼻が詰まっている
  • 炎症が起きている部位の痛み(頭痛 など)
  • 嗅覚障害 など

治療方法

薬液(ステロイド、抗菌薬 など)を超音波によって細かい霧状にして鼻から吸引することで炎症部位などに薬剤が届くようにするネブライザー療法を行います。発症の原因が細菌である場合は抗菌薬を使用します。また対症療法として消炎鎮痛薬や去痰薬などを使用することもあります。

鼻出血

いわゆる鼻血のことです。原因としては、物理的な刺激で起きる場合と何らかの病気を発症していて一症状でみられるということがあります。

物理的刺激とは、鼻をほじる、鼻を強くかむ、連続のくしゃみなどによる鼻粘膜の刺激をいいます。多くの場合は、キーゼルバッハ部位(鼻中隔の前下方、鼻の手前のあたりになります)が出血点となることが多く、圧迫止血をすることで多くは止血が得られます。時に血液サラサラの薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を使用されている方は出血止まりづらく、鼻出血を繰り返すことも多くあります。
経験上、小児の場合、鼻出血を繰り返すケース(鼻血が癖になってしまっているようなお子様)も多くありますが、多くは毎回圧迫止血により5-10分程度で止血を得られることが多いです。ただごく稀に鼻腔内に腫瘍が隠れているなど重篤な病変のケースもあるため、心配であれば一度鼻腔内視鏡を確認し病変がないことを確認することも重要です。圧迫止血を行っても全く止血が得られない場合などは一度きちんと確認することを強くお勧めいたします。

治療方法

まずは鼻翼を圧迫することが初期対応となります。5~10分程度で止血が得られる場合が多いです。
上記キーゼルバッハ部位からの出血であれば大人の場合は焼灼止血(粘膜の出血点及びその周囲を焼くことで止血を行います)を行うことが一般的ですが、現在当院で止血用の器具がないため、当院ではガーゼを鼻腔内にしばらく(3、4日から1週間程度)留置することで止血を行います。
それでも止血が得られない場合が一部あり、その場合は内視鏡を確認しながら、焼灼を行ったり、タンポンを鼻腔内に留置して止血を行うケースもあります(入院が必要なケースも一部見られます)。

鼻中隔弯曲症

鼻中隔は鼻の中で右と左を隔ている壁をいい、軟骨と鼻腔の粘膜でできています。鼻中隔湾曲症はその鼻中隔がその成長過程や外傷などにより変形し鼻腔が狭くなり、鼻づまりやいびき、ひいては睡眠時無呼吸の原因となります。
ただ大人になるにつれて鼻中隔湾曲は大なり小なり起こるもので、湾曲に伴う鼻づまり症状の有無によって治療の可否を判断します。

治療方法

鼻づまりがひどい場合、また鼻中隔湾曲がひどく鼻出血を繰り返す場合などは治療の適応となります。完治を目的とする場合には手術療法(鼻中隔矯正:鼻中隔軟骨の除去及び鼻中隔を構成する鼻骨の切除)となります。
ただし、鼻づまりはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔に起因している場合もあり、またアレルギー性鼻炎の関わりなども考えられ、副鼻腔CTによる評価等、十分な精査を行った上で手術適応の可否を検討します。

嗅覚障害

匂いを感じる感覚を嗅覚といい、これは五感(視覚、味覚、触覚、聴覚)のひとつでもあります。主な役割としては、まず匂いのもとの匂い分子が鼻の中に入り、鼻の最上部(嗅裂)にある嗅細胞に届くと、匂いの情報が嗅神経に伝達され、それが脳に行き届くと匂いを感じます。

タイプは主に3つあります。ひとつ目は気導性嗅覚障害で、これは匂い分子が嗅細胞まで届かないことで嗅覚の低下がみられている状態です。原因疾患としては、副鼻腔炎(急性・慢性)、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症などが考えられます。2つ目は嗅神経性嗅覚障害です。これは嗅神経などが障害を受けることにより匂いを感じなくなる状態です。原因としては、風邪を引いている、副鼻腔炎、薬剤性嗅覚障害、中毒性嗅覚障害などがあります。なお、気道性と嗅神経性は同時に発症する場合もあり、その場合は混合性嗅覚障害と診断されます。3つ目は中枢性嗅覚障害です。頭蓋骨内部にある嗅覚路の部分が障害を受けることで発症し、頭部外傷、脳腫瘍、アルツハイマー、パーキンソン病のほか、頭蓋骨内の手術などによって起きるといわれています。

こんな症状に心当たりがあればご相談ください

  • 匂いを感じにくい
  • 匂いがしない など

治療方法

原因とされる疾患の治療を優先的に行います。また副鼻腔炎などの炎症性疾患による嗅覚障害の場合は、ステロイド系の点鼻薬を使用することもあります。