喉とは
喉は、主に口腔・咽頭の部分をいいます。喉は口に入った食べ物を食道や胃に送る役割のほか、味覚を感じる部位(舌)も含まれます。呼吸時は、咽頭は鼻や口から入ってきた空気を気管や気管支、肺へと送る役割も担っています。また声を出すという働きにとって欠かせない声帯もあります。
これらに異常が生じた場合、声が出ない、声がかれる、食べ物を飲み込めない、いびきがうるさい、味がしない、口内の粘膜に水疱ができるなどの症状が現れる場合があります。
喉のよくある症状
下記のような口腔内の症状が出ましたら当院にお気軽にご相談ください。
- 喉が痛む
- 食べ物が飲み込みにくい(嚥下困難)
- 声がかすれる(嗄声)
- 味がわからない(味覚障害)
- 喉に違和感、異物感がある
- 口内炎がある
- 頸部に腫れがある、痛みがある など
喉が痛む
咽頭や扁桃腺の炎症により強い痛みが生じることがあります。炎症が生じると発赤を伴強い痛みとともに発熱を引き起こします。咽頭炎の場合はウイルスに起因する場合が多く(いわゆる風邪症状)、また扁桃腺炎の場合は細菌に伴い感染を起こす場合が多いです。治療が異なりますので、口腔内(咽頭、扁桃部)観察に慣れている耳鼻科での診察をお勧めします。特に扁桃炎を繰り返す場合は扁桃摘出術の適応になる場合もありますので一度相談ください。
また慢性的に口腔内の痛みが持続している場合は特に悪性腫瘍(癌)を除外することが非常に重要です。強い痛いが長期化している場合、進行がんのこともあるため早期の治療介入が望まれます。特に喫煙歴がある方、あった方やアルコールを多飲されている方、多飲されていた方はきちんと検査することが強く望まれます。
食べ物が飲み込みにくい(嚥下困難)
嚥下障害の項目で詳しくは説明します。飲み込みの障害が出る原因として閉塞性腫瘍がある場合(咽頭や喉頭部の腫瘍病変:癌病変)もありますので、fiber(喉頭内視鏡)を用いてしっかり治療を行うことが重要です。これまでは喉にできた癌の場合広く摘出することが望まれ、大きく切除することもありましたが、特に早期に発見できれば、咽頭や喉頭を温存した治療(声を残せる)を行うこともできるため、早期発見、早期治療が特に重要な分野となります。ぜひ早めに相談ください。
声がかすれる(嗄声)
炎症が波及した場合、声帯にポリープや結節ができる場合などが考えられます。いずれも声をよく使うことで発症することが多い疾患ですので、保育士さんや消防士の方、スポーツなどでよく声を使う状況にある方が嗄声を起こす事が多いです。
またヘビースモーカーの方は声帯に良悪性とも病変できることが多くなることが知られていて、またタバコは喉頭がんのリスクを顕著に上げます(非喫煙者と比較し、肺がんのリスクよりも喉頭がんのリスクがより高くなると言われます)、早期発見できる場合が多い疾患ですが、そのままにせずにできるだけ早く耳鼻科へ受診することをお勧めします。
味がわからない(味覚障害)
味覚が低下している、あるいは全くない状態が味覚障害です。異味症(本来の味とは違う)、や特定の味だけ感じない(解離性味覚障害)なども味覚障害に含まれます。
発症の原因の大半は、亜鉛不足(亜鉛欠乏症)といわれています。なお亜鉛が欠乏する原因は、不明(特発性)の場合が一番多く、薬の副作用、全身疾患(糖尿病、高血圧 など)、風邪のウイルスなどが考えられます。また唾液の分泌低下がきっかけとなることもあります。唾液減少については、加齢、薬剤、ストレス、シェーグレン症候群などがきっかけとなります。
喉に違和感、異物感
喉自身の問題がある場合(喉自身)、後鼻漏に起因している場合(喉の上から)、逆流性食道炎に起因して症状が起こる場合(喉の下から)、また精神的なストレスに起因する場合などが考えられます。喉自身に問題がある場合は咽頭、喉頭周囲の病変が原因で異物感を呈することもあります。腫瘍病変の除外などが望ましいため当院でfiber(高騰内視鏡)検査を行い評価させていただくとともに、初見を見て嚥下内視鏡による検査を行います。後鼻漏に起因している場合も上記内視鏡検査で後鼻腔から上咽頭にかけても十分に確認できるのでその評価も行います。
口内炎がある
繰り返す口内炎の場合は全身の病気を考える必要もあります。まずは標準的な治療を行っていきますが、それでも治らない口内炎、多発する口内炎(また口内炎に目のかすみや皮膚病変を併発する)などがあれば、専門施設での精密検査をお勧めする場合があります。(当院では対応困難なため専門施設へ紹介状を作成いたします)
喉でよくみられる病気
扁桃炎(急性扁桃炎)
扁桃腺に強い発赤、腫脹を認め、膿栓という膿の溜まりが付着している状態を扁桃炎(急性扁桃炎)といいます。主に疲労や風邪などによって免疫力が低下することで細菌感染を起こし発症します。強い咽頭痛、熱発とともに発症しますが、感染が拡大すると喉頭(喉の奥)周囲の腫脹を起こし気道狭窄を引き起こし、呼吸困難や場合によっては窒息など生死に関わる重篤な炎症を引き起こすこともありえますので、決して甘くみず、きちんとした検査及び加療、経過フォローを行う必要があります。
強い痛みは関連痛として耳痛症状を呈することもあります。
また上頸部のリンパ節(扁桃リンパ節)に圧痛(押したり触ったりした時の痛み)や腫れが見られることもあります。
こんな症状に心当たりがあればご相談ください
- 喉の痛み
- 食べ物を飲み込みにくい
- 発熱
- 倦怠感
- 首のリンパ節に腫れ など
治療方法
抗生剤による加療を行います。急性扁桃炎を1年間のうちに複数回繰り返すような場合は扁桃腺を摘出する手術を行うこともあります。その場合は手術加療が可能な施設をご紹介させていただきますので、ご相談ください。
味覚障害
味覚が低下している、あるいは全くないといった状態が味覚障害です。この場合、異味症(本来の味とは違う)、特定の味だけ感じない(解離性味覚障害)なども含まれます。
発症の原因は多くは、亜鉛不足(亜鉛欠乏症)です。なお亜鉛が欠乏する原因は、原因不明(特発性)の場合が一番多く、薬の副作用、全身疾患(糖尿病、高血圧 など)、風邪のウイルスなどが考えられます。また唾液の分泌低下がきっかけとなることもあります。唾液減少については、加齢、薬剤、ストレス、シェーグレン症候群などがきっかけとなります。
治療方法
原因によって内容が異なります。亜鉛不足の場合、亜鉛剤が使用され、亜鉛が取りやすくなる栄養指導も行います。また原因疾患がある場合は、その治療を優先的に行います。このほか薬剤が関係する場合には、その使用を中止する、薬剤を変更する、投与の量を減らすなどしていきます。
咽頭炎
咽頭は上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられます。口を大きく開けて奥に確認できるのが中咽頭という場所になり、鼻の奥から中咽頭にかけてまでを上咽頭と定義します。ここに起こった炎症をいわゆる咽頭炎といいます。
急激な痛みが伴う急性咽頭炎ですが、いわゆる風邪症状(正確には上気道炎を指すことが多いため、若干の差異はあります)のことで多くはウイルスに起因して発症します。ウイルスに抗生剤は効果がないため、基本的には対症療法で治療を行います。時に細菌感染が併発することもありますが、耳鼻科で確認してもらうことをお勧めします。
また長期で喉の違和感、異物感、痛みが持続することもあり、慢性咽頭炎と言われます。鼻腔からの炎症に起因していることもありますので内視鏡による確認、精査を行います(持続する場合、悪性疾患(癌)の初期症状の場合もあることもあり評価は望ましいです)。上咽頭炎の場合、近年は特にBスポット療法:上咽頭擦過療法といって、炎症を起こしている周囲に塩化亜鉛などの薬品を塗布する治療も行っています。Bスポット療法については希望がありましたらご相談をください。
喉頭炎、声帯炎
喉頭蓋付近から気管の入り口付近にある輪状軟骨までの範囲が喉頭といい、一般的には喉ぼとけといわれています。この部位は、呼吸、嚥下(食べ物を飲み込む)、発声に関わる働きをします。この喉頭で炎症が起きている状態を喉頭炎といいます。この場合も急性と慢性に分けられます。急性喉頭炎は、ウイルスや細菌などの病原体の感染によって発症します。感染以外では、声の出しすぎ、喫煙、アレルギーなどといった場合もあります。慢性は、急性による炎症の繰り返し、逆流性食道炎や副鼻腔炎の後鼻漏の影響といったことがあります。
こんな症状に心当たりがあればご相談ください
- 喉の痛み
- 違和感
- 声がかれる
- 食べ物を飲み込みにくい など
治療方法
まず安静にすることが基本となります。そのうえで、痛みがある場合は、鎮痛薬を使用します。また細菌が原因と考えられる場合は、抗菌薬を投与することもあります。
発声のしすぎが原因で起こった声帯炎の場合、声の安静(タバコなどが悪化因子となるため禁煙を要します)に加え、ステロイドの吸入を行うこともあります。また慢性喉頭炎では、原因疾患があれば、その治療を優先して行います。